吉野北人×鈴木愛理「普段の自分だとしないくらいの動きをしてみています(笑)(吉野)」2026年秋号インタビュー
吉野さん、鈴木さんがW主演を務める公開中の映画『昨夜は殺れたかも』は、コメディならではの笑いもありながら、キュンとする要素もある作品でした。まずは、お二人が演じたキャラクターをどのように感じていたのか、ご自身と似ている点もあれば教えてください。
吉野 僕が演じた光弘は、妻の咲奈にヤクザであることを隠して普通のサラリーマンという設定を貫いている男です。咲奈のことを愛していて、すごくまっすぐな男性だと思います。自分で言うのもなんですが、僕にもまっすぐなところはあり、そこは近しいかなと思います。と、誰も言ってくれないと思うので、自ら言います(笑)。
鈴木 そんなことない、似ていますよ!(笑)。咲奈は、実は帰国子女で敏腕社長。会社を持っていることを隠しながら、専業主婦に徹して生きている女性です。仕事をバリバリする姿と、家のことに集中する専業主婦の姿は、一見反対に見えますが、どちらの道を選んでも正解ですし、咲奈にはその両方がある。私自身も仕事がすごく好きですし、仕事を通して仲間を守りたいという正義感みたいなものはあるので、そこは似ているなと思いました。
吉野 鈴木さんも似ていると思います!
鈴木 ありがとう(笑)。
(笑)。作中では「隠し事」も大きなポイントになりますが、そこに共感する部分はありましたか?
吉野 僕はまず隠しごとができないと思います。ごまかせないし、きっとすぐバレちゃう。
鈴木 吉野さん、嘘、つけなさそうだもんね。
吉野 はい、嘘、つけないです(笑)。嘘をついているつもりでも、親に「嘘ついててもバレてるぞ」と言われたことがあって。顔に出ちゃうんですよね。
鈴木 まっすぐですね。私も、相手のことは全部知りたいし聞きたい。そして自分も嘘なく話したい。そういう関係性でありたいなと思います。ただ、出会う前のことに関しては、相手が聞きたいと言えば話すし、聞きたくないと言うなら頑張って耐えます。とはいえ、すぐ話しちゃうと思いますが(笑)。あと、嘘っていつかはバレるので。
吉野 それは絶対にそうです!

アクションやコメディ要素も多くありました。挑戦だったこと、大変だったことはありましたか?
吉野 僕はコメディ作品自体、これまで経験したことがなく、今回の出演は挑戦でした。どこまでやっていいのか、さじ加減が難しくて。松木(創)監督から、本読みの時に「とりあえず思い切りやってください。やりすぎなくらいやってもらって、違ったらこちらで調整します」と言っていただいたんです。その言葉に心が軽くなりました。僕自身は『ハングオーバー』などのコメディが大好きなんです。これまでいろいろな作品に出演させていただく中、コメディ作品の経験はなかったので、機会があればいつかやってみたいなと考えていました。そう思っていた矢先に今作のお話をいただいたので、迷わず「ぜひやらせてください!」とお伝えしたんです。新境地なので、表情も初めて引き出すものが多かったですし、ファンの方に驚かれないといいのですが……(笑)。アーティスト活動をしている時には絶対にしないような顔を、この作品ではたくさん見せています。新しい発見がありましたし、すごく楽しかったです。
先ほどの撮影を見ていても、カメラマンや作り手が「こう切り取りたい」と思っている意図を察知して、そこに寄せる瞬発力の高さに圧倒されました。
吉野 そんなところを見られているとは……恥ずかしいですね(笑)。プロデュースすることが好きなので、通ずる部分があるのかもしれません。ソロ活動もすべて自分で考えてやっているので「こうしたい」と自分をプロデュースする感覚は持っていると思います。だからこそ「こういう意図があるんだろうな」、「この世界観なら、こうした方がいいんだろうな」というニュアンスは、なんとなく掴めるのかもしれないです。
そのようなインスピレーションは、どこから浮かんでくるのでしょうか。
吉野 プライベートの中でアイデアを見つけることが多いです。休みの日もなるべく外に出て散歩したりしますし、意外と日常にいろいろなアイデアが転がっているんですよね。海外に行った時も街中に出て、今どういうものが流行っているのかを感じたりもします。どうしても海外の方が早い分野もありますし、日本は遅れて入ってくることも多いので。視察しに行っているわけではないですが(笑)、ただ歩くだけで楽しいです。とある海外ブランドも、今日本でものすごく流行っていますが、僕は誰よりも早く着ていたんです!アメリカで流行り始めていたときに見つけて、「めっちゃ可愛いじゃん!」とたくさん買って着ていたんですが、気付いたらアジアに浸透していって、今ではもう、みんなが着ています。とはいえ、いいと思うものは、ひっそりと着ていたい派で(笑)。なるべく被りたくないんです。最近は、自分のブランドを作り、アパレル方面にも手を伸ばしています。自分が好きで着られる服を作るという感覚。身の回りのことは全部、自分でプロデュースできればと思ってやっています。

鈴木さんは今年、コンスタントに映像作品の公開が続いていますよね。
鈴木 帰る場所として、ずっと音楽に重きを置いている感覚ではあります。お芝居は機会があれば、もちろんやらせていただきたいお仕事なのですが、来年25周年を迎えるので、来年は逆に音楽活動にもっと重きを置いてやれたらいいなという気持ちもあります。
音楽と映像で表現すること、それぞれに違う面白さがあると思いますが、棲み分けのようなものはありますか?
鈴木 小さい頃から音楽活動をしているので、音楽やアイドルの世界に関しては自分なりのプライドがあります。だからこそ喜びも悔しさもすごく激しいんです。一方で、お芝居は大人になってから始めたものなので、指導していただけることや、意見をいただけることが、すごくクリーンに入ってくる感覚で。もちろん「もっとこうしたかったな」と悔しい気持ちにもなりますが、お芝居の現場には柔軟に入れている気がしていて。ただ、私は入ろうと思ったら入り込んでしまうタイプなので、作品に入っている期間中にライブをするというのが一番難しい。普段の自分に戻ってこられない時が今でもたまにあるので、そのバランスは難しいなと感じます。
長くひとつのことを続けるのは簡単なことではないです。鈴木さんの原動力は、どこにあるのでしょうか?
鈴木 中学生の頃に母から言われて、ずっと大事にしている「3年の法則」というものがあって。“今の自分が満足した日々を送れていると思うなら、それは3年前の自分が頑張ったご褒美が来ているだけ。だから、3年後の自分のために今を頑張りなさい”という考え方です。5年後ではなく3年後って、私はギリギリ想像できる未来なんですよね。自分の未来のために頑張るということが心に残っていますし、ずっと掲げています。あとはやっぱり、私の音楽を受け取ってくださる方の存在も大きいです。20周年のタイミングがコロナ禍の前後にあったのですが、音楽活動を続ける意味を考える時期がありました。身を削って、体調を崩すことがあったとしても、それでも続けたいと思える理由は何なのか?と。そんな時「本当は今日で人生を終わろうと思っていたけれど、愛理ちゃんが笑ってくれているから、明日ももう一日頑張って生きます」というようなメッセージをいただくことが度々あったんです。明るい曲を届けた時ほど、たくさんの方がポジティブに受け取ってくれて。私の意味ってここにあるんだなと気付きました。先日、ピンク・レディーさんのトリビュート・コンサートに出演させていただいた時に、デビュー50周年だと聞いて。私は来年25周年なので「倍だ!」と(笑)。その時に自分は50代で50周年を迎えられることに気付き、すごく素敵な夢が膨らみました。アイドルって、このためにあるのかもしれない、と。ファンの方と、互いの人生を生かし合っているというか、輝かせ合っている感じがして涙が出てきちゃって(笑)。まだまだ終わらないです!

今作では、お二人が演じた「二つの顔」が印象的でした。夫婦として一緒にいる時と、相手に見せていない時とで、まったく違う顔がありますよね。演じる上では、その切り替えをどのように作っていったのでしょうか?
鈴木 撮影の順番が、ヤクザや社長としてのシーンを撮り切ってから夫婦のシーンに合流するような流れだったんです。だから違和感なく進められました。それに私は、ルックスがかなり違ったので、メイクと衣装にすごく助けられたんです。見た目が変わると気持ちもガラッと変わる、そんなことを改めて感じていました。
吉野 パートはうまい具合に分かれていましたよね。細かく切り替える必要がなかったので、二役演じているという感覚にもなりませんでした。ただ、お芝居としては、モノローグが多かったので、心の中の動きを言葉にせず表現する場面も多くて。大きい身振りも多かったので、どこまでやるかはいくつか段階を考えて臨みました。普段の自分だとしないくらいの動きをしてみています(笑)。
光弘と咲奈は、勘違いから殺し合いの攻防戦が始まっていきますが、お互いに「こういう人だと思っていたけれど違った」という点はありましたか?
鈴木 吉野さんの印象はとっても変わりました。クランクインの前は、吉野さんのシュッとしている姿しか見たことがなかったので、私がMCを務めているバラエティ番組に来てくださったときの印象もありましたし、人見知りなのかなとも思っていて。でも実際に共演してみたら、いい意味で想像を超えてこられました。めちゃくちゃフランクな方で、おふざけにもちゃんと乗ってきてくれるんです。真面目な場でも、そうでないところでも「男として、やるときはやる」みたいな覚悟が決まっているんですよ。無茶ぶりもちゃんとやってくれる。恥ずかしがって絶対にやらないようなことも、サラッと乗っかってくれるので、びっくりしました。ギャップとユーモアのあるすごく素敵な人です。
吉野 (笑)。特に撮影後半はみんな疲れていたのか、変なテンションになってしょうもないことで盛り上がることが多々ありましたね。鈴木さんの印象については、僕も最初に持っていたイメージとは変わりました。番組でよく拝見していたので、「テレビの人だ!」という印象があって。場をよく見ていて、僕なんてすぐに見透かされてしまいそうだとある意味怖かったんです。でも実際は全然そんなことはなく、すごく自然体な方でした。本当に裏表がないんです。誰と接している時もまったく変わりなくて。だから、自分も素でいられたのだと思います。

俳優 吉野北人(HOKUTO YOSHINO)
Instagram:@hokuto.yoshino.16_official
俳優 鈴木愛理(AIRI SUZUKI)
Instagram:@airisuzuki_official_uf

『昨夜は殺れたかも』
監督:松木 創
原作:『昨夜は殺れたかも』藤石波矢・辻堂ゆめ/講談社タイガ
出演:吉野北人、鈴木愛理、他
公開中
©2026 映画『昨夜は殺れたかも』製作委員会
costume
・AIRI SUZUKI
blouse ¥31,900 , dress ¥46,000 all by equalment , choker ¥59,400、ear cuff ¥8,800 all by GiN、bracelet ¥99,000 by MASANA、ring (right index finger) ¥22,000 , ring (right ring finger) ¥14,000 all by yoaa、others stylistʼs own
staff
Photographer : TAKAO IWASAWA
Hair & Makeup : TOSHIYASU OKI (YOSHINO) , TOMOKA FUKUMA (SUZUKI)
Stylist : KEISUKE YOSHIDA (YOSHINO) , DAISUKE MORIMUNE (SUZUKI)
Director : SATORU SUZUKI
Edit & Text : AYAKO UENO