西垣 匠「正解がないからこそ、『どうすればより良くなるだろう?』という好奇心でずっと動いている」WEBインタビュー

INTERVIEW

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西垣 匠「正解がないからこそ、『どうすればより良くなるだろう?』という好奇心でずっと動いている」WEBインタビュー

西垣さんは、公開中の映画『キリコのタクト〜YELL〜』に出演されています。いきものがかりの名曲「YELL」をモチーフにした本作は、伝説の音楽教師・原田貴理子(鈴木京香)、通称“キリコ”と、その教え子たちの絆を描く物語です。西垣さんが演じた東山もまた、高校時代にキリコと出会い、人生を大きく動かされていく一人です。東山というキャラクターはどんな人物に映りましたか?

等身大の高校生と言いますか、親との確執があるところも描かれていたことからも、思春期真っ只中なのだろうなと思いました。東山はミュージカル俳優の息子で、親に反発したい気持ちから音楽を遠ざけて野球をしている。分かりやすいというか、軸がはっきりしていたので、キャラクターはイメージしやすかったです。キリコ先生との出会いをきっかけに、音楽を自分の職業にまでしていく人物なので、そのまま成長させていくことができましたし、演じていて、すごく楽しい人物でもありました。

西垣さん自身も、学生時代の長い期間フェンシングに打ち込まれていましたよね。ご自身の学生時代を振り返るようなことはありましたか?

何かひとつのことを一生懸命やる感覚については、理解できる部分がありました。東山の場合は学生時代の合唱部の経験からアーティストにまでなってしまうので、スケールが大きすぎるのですが(笑)。でも、自分の中で一生懸命やった時の上限を知っておけば「(東山も)これくらいの気持ちで向き合っているのだろうな」という感覚が持てるんです。自分の出せるマックスで向き合った方が役に対する思い入れも深まっていくので、そういう意味では、自分が打ち込んできた経験は活きていたのかなと思います。

キリコとの出会いが、東山を含め、教え子たちの人生に大きく影響していきますよね。大人になってから出会う人ももちろん大切ですが、学生時代に出会った人たちの方が、より自分の根の部分に影響を与えているようにも感じます。西垣さんにとって、学生時代の出会いや友人は、今どのような存在ですか?

高校時代の友人は、地元の石川県に帰ったら必ず会う存在です。僕がこの仕事をしていることも理解してくれていますが、変に気を遣わないんですよね。僕が出ている作品も、観ていないのか観ていても何も言わないのか、そんな話にもならないくらいで(笑)。それくらいラフな関係でいられるのがいいんです。当時の関係性にすぐ戻れるというか。嫌なことや悩みごとを一旦置いて、ただ普通に喋って楽しめる。そういうところは、高校の友人ならではなのかなと思います。石川県で仕事がある時は、必ず寄って会っていますね(笑)。

同世代の友人の皆さんも、それぞれの道を歩まれていると思います。地元の友人たちと会うことで、日常の感覚を思い出すようなことはありますか?

やっぱりこの仕事は、少し異質というか特殊じゃないですか。でも、僕が作品で演じるのは、特別な世界ではなく、日常を生きている人たちのことが圧倒的に多いんです。僕の中にもある日常の感覚は、絶対になくてはいけないなと思っています。華やかな世界ですし、いろいろなことをしていただくこともあります。でも、それを普通だと思ったら距離ができてしまうし、自分にとって絶対にマイナスになる。だから友人といる時は、その感覚を忘れずに、ただ楽しむことを何よりも大事にしています。

普段ご友人とはどんなことをして過ごすのですか?

いつもは食事に行くことが多いですが、先日は、友人とディズニーランドに行きました。ちなみに「(カチューシャの)耳をつけて」と言われたらつけますよ(笑)。それこそ、撮影の現場だったらアトラクションに並ばずに進めることもあるじゃないですか。でもその時は、当たり前ですがちゃんと並んで。とても混んでいた日で、ほとんどが90分待ちだったのですが、待ち時間すらも楽しいんです。「こういうの、いいな〜」と思いながら過ごしていました。

学生時代に友人と過ごした時間があり、フェンシングに打ち込んだ時間もあり、今のお仕事もある。そうした経験の積み重ねが、ご自身の感覚や表現にも繋がっているように感じました。

小さい時からいろいろな経験をさせてもらえたことは、親に本当に感謝しています。もともと好奇心は強く、何かあったらすぐに調べますし、「知りたい」という気持ちでしか基本的に動けないのだと思います。お芝居も正解がないからこそ、「どうすればより良くなるだろう?」という好奇心でずっと動いているんです。作品を重ねても尽きない。やればやるほど、自分の粗が見つかるんです。今回も、特に鈴木さんのお芝居を目の当たりにして「こんなすごいお芝居があるんだ」と感じました。そういうものを見た上で、自分が出ている映画やドラマを見返すと「もっとこうできたな」という新しい発見がどんどん生まれるんです。一段階上に上がると、自分の粗が10個くらい見つかります。「もっとこれできるな」、「もっとこうした方がよかったな」とバーッと出てくる(笑)。それをひとつずつ潰していく作業をしているイメージです。その繰り返しなので、本当に好きだからこそ突き詰めていけるのだろうなと思います。

お芝居という作業は、誰かが正解を教えてくれるわけでもないですし、アドバイスをもらったとしても、それが自分にフィットするかは分からないですよね。

一生、自分で考えてトライアンドエラーを繰り返していくものなのかなと感じています。僕はきっとマニュアルがあるような仕事ができない。常に好奇心を刺激されていないといけないんだと思います。

何かに打ち込んだ経験をお持ちの方は、根気強く続けていく力もあるのかなと思います。西垣さんもそういう素質をお持ちなのではないでしょうか。

確かに、この仕事はもちろん楽しいことだけではないですし、心を折られることもあります。それでも、部活よりきついことはないと思っているんです。メンタルを強く持つことや根性論みたいな話は今の時代には適していない言葉かもしれないですが、やっぱりあるのだと思います。多少のことでへこたれない、辞めないというのは大事ですし、そのメンタルの強さは部活で培われましたね。

西垣さんは「しんどいな」と感じた時、どうやってまた気持ちを切り替えているのでしょうか?

寝ます!寝て起きたら仕事に行かなきゃいけないので。どれだけ凹んだとしても、そのミスが次の日のミスを引き起こしていい理由にはならないじゃないですか。その日のうちに切り替えないといけないから「まぁ、そういうこともあったな。しょうがない」と思うしかないんです。これもフェンシングをしていた時に身についたことだと思います。負けず嫌いだったので、試合に負けるとめちゃくちゃ泣いていたんです。でも次の日にはまた練習が始まるので、気持ちを切り替える術をその時に学びました。今の仕事でもそれは役立っています。撮影中に「うまくいかなかったな」と思うシーンがあったとしても、他の人からしたらただのワンシーンでしかない。自分の中のこだわりはありますが、作品にとって余計な引っかかりになってしまうのはよくないので、切り替えることも大事なことだと感じています。

今作でモチーフとなっている、いきものがかりの「YELL」は、幅広い世代に愛されている楽曲ですよね。多くの人の学生時代の思い出とも結びついている曲だと思いますが、西垣さんにとって、音楽はどのような存在ですか?

ここ最近は、特定の好きなアーティストがいるよりは、いいなと思った曲を集めて、ごちゃ混ぜにした自分だけのアルバムを作っているような感覚です。最近はSOUL’d OUTを聴いています。メインMCのDiggy-MO’が、僕の好きなアニメ『BLEACH』の主題歌「STAY BEAUTIFUL」を歌っているんです。そんな平成感満載の曲を、朝が早い時に聴いています。冬の朝5時くらいって、起きても外はまだ暗いじゃないですか。頑張って体を動かさなきゃいけないので、テンションの上がる曲を聴きながら起きています(笑)。あと、back numberの「クリスマスソング」は、流行った高校1年生の時によく聴いていて、今でもたまに懐かしくて聴き返します。当時僕は石川県にいたのですが、雪がすごく降るんですよ。高校に行く時は、マフラーを巻き、イヤホンをして電車に乗って通学していたのですが、その時にずっと聴いていました。僕の青春の1曲のひとつです。


俳優 西垣 匠(SHO NISHIGAKI)
Instagram:@sho_nishigaki_official


『キリコのタクト〜YELL〜』
監督・脚本・原作:雑賀俊朗
出演:鈴⽊京⾹、藤原⼤祐、井頭愛海、⽥辺桃⼦、⻄垣 匠、榊󠄀原郁恵、小泉今日子、宅麻 伸、名取裕子、他
公開中
©映画「キリコのタクト〜YELL〜」製作委員会


staff
Photographer : EMI
Edit & Text : AYAKO UENO(AKANE MAGAZINE)

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