南琴奈「芯を持って、そして、しなやかに」創刊号特別インタビュー

INTERVIEW

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南琴奈「芯を持って、そして、しなやかに」創刊号特別インタビュー

AKANE MAGAZINEの撮影、どうでしたか?

記念すべき創刊号に出演させていただいて、まずは素直に嬉しいです!ありがとうございます。今日の撮影、すごく楽しみにしていました。『AKANE MAGAZINE』について、撮影前に編集長から説明いただいて。日本の文化とか、気持ち的な部分も含めて、世界に発信していくんだという、想いやコンセプトが素敵だな、かっこいいなって。その創刊号で、被写体としてうまく表現できたかどうかは分からないですが、楽しい撮影でした。

ありがとうございます。発売日は少し先ですが、今日は1月某日。2025年を振り替ると、どんな年でしたか?

2024年に撮影したものが、2025年に多く公開されたこともあり、作品をたくさんの方に見ていただく機会が増えて。感想とかをいただくことが嬉しかったですし、反対にちょっと気が引き締まるというか……ちゃんと、きちんとしなきゃという気持ちも生まれて。映画って撮影してから一年、二年先に公開されることも多くて、その間って当たり前ですが誰にも見てもらえない状態が続く。早く公開してほしいなという楽しみもあれば、私の演技は大丈夫だったかな?とか不安になったりも。そんな気持ちが公開まで続く中、実際に映画を観て、楽しんでもらえたり、作品を好きになってくれたり、そういったリアクションが昨年は特に多く、なんだか安心できた年だったような気がします。また、今までで一番、いろんな感情を経験した年だったなと。意外と自分って繊細なんだなとか、でもこういう部分は大胆なんだよなとか、新しい自分にも気づいた一年だったと思います。

今年2月に公開された『夜勤事件 The Convenience Store』で初主演を務められましたね。主演となると、現場での立ち振る舞いとか、意識した点はあった?

初めて主演を務めさせてもらうことでもですが、ホラー作品が実は見るのも苦手な方で……。怖くて回避していたジャンルだったので、どういうのが正解なのかも分からなかったりと、不安の方が多くて。今までご一緒してきた先輩たちの、主演、座長としての現場での動きだったり、視野の広さだったり、間近で素晴らしさを体験してきた分、そういう立ち居振る舞いというか、視点を持つことが今の自分できるのかなって……。自分の演技だけじゃなくて、他の役者さんとコミュニケーションだったり、 周りを見ながら初のホラー作品に挑戦。自分にはもしかしたら、このタイミングではできないかもしれないと思ったこともあったり。なんとか気持ちは整えて、「こんなチャンスも滅多にないので、やるしかない。まぁ、なんとかなる!」という思いで現場にインさせていただいて。現場に入ると、本当に助けてもらうことばっかりで。共演者の皆さんももちろん、スタッフさん達にもたくさん支えていただいて、その場に立たせてもらっているような感覚になって。本当に恵まれてるなと思いますし、その環境のおかげで、自然と小さな自信につながっていったような気がします。

気負わずにはいられたのかな?

すごい、のびのびやらせてもらった感覚です。

琴奈さんは、あまり大きい声を出すイメージがないというか。ホラーものなので、役として驚いたりとか、そういう普段とは違うリアクションを求められそうですが?

永江二朗監督と初めて顔合わせをした時に「ホラーの演出は、僕に任せてください」って言ってくださって。私はホラー作品についてはほとんど何も知らない。だから、監督の言うことに一生懸命答えよう考えて、あえて何も作らず現場に入って。そういったホラー特有のシーンなどは、ひとつひとつ監督に指示していただいて撮影を進めていきました。静かな恐怖というか、ジワジワ来る感じの展開なので、リアクションにもグラデーションが必要で。大声を出して逃げまわるシーンは、 自分でもどのくらい声が出せるんだろう?という感じだったのですが、いざ叫んでみたら、結構大きい声を出せて(笑)。次の日は喉が痛くて、普段使ったことのないエネルギーを出したせいか、体力的にも精神的にも少ししんどかったのですが、私って、こういう声も出るんだと、新しい自分を知れた気がして楽しかったです。

夜のシーンが多いかと思うのですが、怖いものが苦手な琴奈さん。現場の雰囲気はどうでしたか?

とあるシーンで、一人で逃げる少し長めのカットがあって……。他にもちょいちょい照明を落としたりなど、本当に怯えながら撮影したカットもいくつかあって。怖かったですが、そこも含めて楽しんでいただけたらと。ただ、撮影全体を通しての感想は楽しかったですね。幽霊役の方と一緒にお弁当食べたりとか(笑)。

観る側もハラハラしそうですね……。どういったところがこの作品の見どころなのかな?

この作品はインディーゲーム制作チーム『Chilla’s Art』が手がけたゲーム『夜勤事件』が原作で。私が演じる『田鶴結貴乃(たづるゆきの)』はゲームであればプレイヤー側。この作品では、観ていただく方がゲームのプレイヤー感覚になれるように、私の視点に合わせて、実際にカメラを頭に装着した撮影も行われて。本当にプレイしているかのような、没入感みたいな部分があると思います。原作のファンも楽しんでいただけるこだわりが満載です。それと、ゲームに実際登場するキャラクターを、そのままこの映画作品の世界にも連れてきたみたいな。出てくるキャラの個性が強力で、誰が味方か敵かもわからない、みんな怪しく見えてくるような。そんな個性豊かなキャラクターも、見どころのひとつかなと思います。作品の後半は、映画のオリジナルストーリー。ゲームのその後は、こうなったんじゃないか?というストーリーになっていて。ホラー作品としても楽しめるかと思うのですが、2回3回と観たくなるような、お話の展開も見どころですね。これで終わりかな、と思ったらまた違う展開に変わっていったり、主観だったのが、急に逆転したり。とってもテンポのいい作品です。

3月27日公開、山時聡真さんと菅野美穂さんダブル主演映画『90メートル』。ここではどんな役どころを?

山時聡真さんが演じる、主人公の藤村佑という高校生の男の子がいて。彼はもともとバスケ部で、私が演じる松田杏花(まつだきょうか)は、そのバスケ部のマネージャー。佑は母親が難病を患ったことで、大好きだったバスケもやめざるを得なくなってなって。彼のことをちょっと気に掛けるじゃないですけど、バスケ部のメンバー達と一緒に、佑が学校の中でも孤立しないように、そっとサポートというか、見守り続けているような、女子高校生を演じました。

佑との関係性は?

同級生で、バスケ部員とマネージャーの関係。幼馴染とかでもありません。もともと特に仲良かったわけではなく、恋をしていたとかそういう感じでもなかったのですが、受験の相談をきっかけに、話すようになって。距離が縮まって、どんどん仲良くなっていく中で、お互いの家庭事情を打ち明けるようになるんです。友達以上、恋人未満みたいな。

マネージャーをやるぐらいだから、元々松田杏花は責任感が強いタイプなのかな?

そうですね。 部活を辞めた佑は、最初、他の部員や友達にも話していなかったんです。お母さんの具合が悪いって。でも、何かおかしいなって、あることがきっかけで佑の境遇に気がつくことがあって。杏花はマネージャーとして佑も気にしているし、もちろん他のバスケ部員のことも気にしていて……。なんとか佑をこのチームに、みんなの居場所に戻したいって思っていて。卒業式が近くなってきた頃、卒アル用の写真を、バスケ部のみんなで撮ろうと、もちかけるんです。

菅野さん演じる母親、藤村美咲との接点は作品中ではあったのですか?

実際に菅野さんと接するようなシーンはなくて。お母さんの病気のことはもちろん心配、ただそれよりも、お母さんのことで悩んでいる佑のことが心配で、なんとか心の拠り所になれたらいいなというか、少しでも安心できる存在でいたいなと思っていました。そのことで、同時にお母さんを支えることにもつながるんじゃないかなって。お母さんと実際に話すシーンはないのですが、佑と話しているうちに、杏花自身の悩みや家庭環境とか……今まで自分の中で隠していた気持ちも自然と出てくるようになって。お互いに本音で話し合える関係になっていく。状況は違っても、お互いの気持ちが分かり合えるからこそ、他の人に言いふらしたりはしない、友達ですけど、ちょっと特別な関係だったのかなって。

琴奈さんの実年齢にも近い役だと思いますし、少しセンシティブな作品というか、役づくりも難しそうな印象ですが、何か事前に準備はしたのかな?

杏花は、実際の私と近いところがあって……。悩みがある友達に、その悩みの根本まで無理に聞き出したいとは思わないというか。たぶん、触れられたくないこともあるだろなって思って、あえて深入りしないというか。原作や台本を読んだときから共感できる部分があったので、役作りで何かを準備するというかは、ちょっと、自分に近いなっていう感覚で。

中川駿監督からは、事前にどんな指示があったのかな?

監督からは、明るく演じてほしいと言われて。菅野さんと、山時君のシーンが、やっぱこう、切なかったり、悲しい気持ちになってしまう。だからこそ「杏花とのシーンは、観ている方が安心できるような、あったかいシーンにしたい」とおっしゃっていて。ちょっと気が抜けるくらいがいいというか。 それは、佑にとってもそういう存在であって欲しいから、考えすぎずに愛嬌たっぷりでと説明してくださって。作品全体を見た上で、低いトーンで演じていたのですが「もっと明るく!もっと全然可愛らしさがあっていいと思う」とか、監督からは撮影中もそういった指示を受けました。

実際に撮影している時と、仕上がった作品を見て、感情も変わったりしました?自分の演技や、完成した作品全体をみて、自分のポジションがより明確になったというか。

はい、それは本当にそのように感じましたね。監督が、杏花のシーンだけ音楽をつけるように編集してくださっていて。作品の中でも空気が変わる。ちょっと張り詰めたシーンが、解放された展開があったりして。明るくとか、愛嬌とかの必要性、完成してからより感じることができました。あえて佑のお母さんとのシーンがなかったことも、仕上がった作品をみて、なるほどなと。

リアルですよね。わざと離してたというか。きっと山時さんも、母親とのシーンだと、やっぱりすごく気持ちが持ってかれる。そういった意味でも、琴奈さんとのシーンは、撮影としても本当に少し気が楽になるというか。いい演出ですね。初号を見た時は、視聴者としてはどんな感想を持ちましたか?

なんだろうな……。すごい感動したというのは簡単すぎる言葉かもしれないのですが。何より、菅野さんの演技がすごすぎて。観ていて、胸が締め付けられたな……。だけど最後に作品名の『90メートル』の意味も分かるストーリーで。初めて脚本を読んだ時もですが、映像を観た際も、その展開にすごい鳥肌が立ちました。

僕らはどういう気持ちで劇場に行ったらいいですか?

私たちみたいな10代や20代の若い世代にも、それぞれ当たり前に親との関係あって。この作品は、大切な人との関係性を、改めて考え直すきっかけになると思います。時間って有限だし、年を重ねていくと、どうしても親の方が先にいなくなってしまうじゃないですか。病気になったり……。だからこそ、今の時間をもう一度、見つめ直すことが大切なんだなって感じました。家族との時間だったり、自分の中で隠してしまっている本当の気持ちだったり、ゆっくり家族で話す機会って意外と少ないと思うので。この作品を通して病気のことを知ってもらうことは大事だと思いますが、それだけじゃなくて、大切な人と過ごす時間についても、もう一度考え直してもらえたら嬉しいなと思います。

当たり前の日常が、当たり前のように続くわけではない。誰もが、いろんなところで経験する。家族じゃなくても、彼氏にふられたとか、大切にしていたワンちゃんが亡くなっちゃったり。そういった、ひとりひとりの人生とも重ねられるような作品なのかな?

明日が来るのが当たり前とか。それってすごい平和で幸せなことだと思うんですけど、どれだけ毎日を大切に生きても、命ってあっけなく失われてしまうこともあるんだなって……。私自身がそう感じたように、観てくださる皆さんも、きっと色んな考えが生まれる作品だと思います。自分の思い通りにいかなかったり、うまくいかないこともあるかもしれないけれど、人は温かいんだな、そう思わせてくれる映画です。

いい作品に出会ったね。

はい、とても。
ありがとうございます。

少し話の角度を変えて。色んな役を、最近幅広く演じられていると思うのですが、アプローチの仕方とかって、実験的に探っていたりとかするんですか?

がっつり役づくりをするタイプではないかなと。私は現場に入ってから、感覚でつかんでいくタイプっていうか。もちろん原作を読んだり、役のことを理解する作業はしています。ただ、自分の中で完成させるというより、監督の意見を聞いたり、共演者の方との掛け合いの中で、解像度を高めていくようなイメージです。

音楽を奏でるみたいに。セッション的な?

そうですね、セリフを覚えるときは台本を見ながら、相手の方を想像しながら、覚えていきます。ただ、実際にその現場に立って、カメラが回ってみたら、当たり前ですが相手の役者さんの演じ方が想像と違かったりもする。準備や練習はしていきますが、目の前に役者さんが立つと、やっぱり新鮮になる気持ちというか。台本を読んだ時とは違う気持ちが生まれたり。その率直な気持ちをすぐに監督に相談しながら、撮影を進めていくみたいな。

ありがとうございます。最後に緩い質問ですが……。2026年の抱負を!20歳にもなって。


抱負は〝図太く、柔らかく〟です!

三段落ちかなと思ったら。

じゃぁ、図太く、柔らかく、したたかに、ですかね(笑)。

図太くっていうのは、芯を持ちながらの柔軟性というイメージで理解できるけど、したたかにというのはどういうイメージ?

あー、間違えました。したたかじゃなくて、しなやかにですね(笑)。何にでもなれるような柔軟性を持っていたいし、楽しいと思うことには、ガツガツ行きたい。そういう軽やかな気持ちでいつもいたいけど、自分の芯を、自分のどこかに持ち続けてはいたい。フッ軽とかそういうことではなくて、例えば「今すぐあっちに行ってください」って言われたら、すぐに行けるような身軽さ。ただ、身軽になるのって、意外と準備がいるなって思っていて。身近なことでいうと、バッグが小さい人って、その中は充実してて、自分の中のスタメンみたいな存在が揃っていて。これで乗り切れるから、この大きさでいいだ、そういった身軽さを常に持ち続けられるようになりたいですね。

大切なものが何かを定めなきゃいけないし、削いでいかないといけない。

選択していかなきゃいけないから。ちゃんと見極めるようになりたいです。例えば、お金をかけるもの、時間をかけること、そういったことも自分で判断して、切り捨てるわけではなく、選択していきたい。だからこそ、図太く、柔らかく、しなやかに。そして身軽さを、が今年の、これからの目標です。


俳優 南 琴奈(KOTONA MINAMI)
Instagram:kotona_minami


costume
・Red
long shirt ¥88,000 by KANAKO SAKAI
tops ¥31,900 , skirt ¥49,500 all by 08sircus / 08book
ear cuff (up) ¥16,500 , (down) ¥26,400 , ring (left , gold)¥24,200 , (silver)¥22,000 all by BRKUMO
ring (right) ¥26,400 by PLOW
socks by stylist’s own

・Blue
shirt ¥38,500 by muller of yoshiokubo
tops ¥29,700 by MURRAL / THE WALL SHOWROOM
skirt¥63,800 by 08sircus / 08book
choker¥58,300 by PLOW
ear cuff¥29,700 , ring (left)¥66,000 all by ENEY / ENEY MATSUYA GINZA
ring (right) ¥46,200 by BRKUMO
shoes¥56,100 by KATIM

Staff
Photographer : KOTOKA IZUMI(IN Inc.)
Hair & Make up : KYOHEI SASAMOTO(ilumini.)
Styling : KANNA MURAMATSU
Director : SATORU SUZUKI(AKANE MAGAZINE)

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