南 琴奈「この先も大切にしたい言葉たちを、たくさんもらった気がします」2026年秋号インタビュー
今日で3度目となりますが、AKANE MAGAZINEの撮影は南さんにとってどんな時間ですか?
本当にのびのびとした時間を過ごさせてもらっています。AKANE MAGAZINEの撮影は温かさがありますし、編集長とは何度もご一緒してきたからか、何より安心感があります。撮影の前に「今回はこういうものを撮りたい」というイメージをいつも送ってくださるじゃないですか?そんな風に準備してくださるからこそ、現場では自由にカメラの前に立たせていただけるのだろうと思います。関係性ができているからこそだということをいつも感じますね。
モノづくりにおいて、信頼関係やコミュニケーションはとても大事だと思っています。映像の現場も、ここ数年で雰囲気や作り方が少しずつ変わってきているように感じますが、南さん自身は映像の現場に立つ中で、そうした空気の変化を感じることはありますか?
変わってきていると思います。私にとっては、この仕事を始めた時がスタートなので、それ以前と比べてどう変わったかは、分からない部分もありますが……。「こういう方法があるんだな」ということをひとつひとつの現場で感じながら、振り返ると少しずつ変わってきている気がします。現場の空気も作品によって違いますね。もちろん合う合わないはありますし、クランクイン前はやっぱり緊張します。特に全体の撮影の後半から参加する場合は、その現場の空気感やすでにできあがっている関係性が分からず、馴染むまで少し時間がかかることもあります。そういう時は共演者の方が気を遣ってくださったりもして。最初から現場にいられる時は、「今、いい空気感を作れているかな?」と考えたりもしますね。
現場では、準備していたものとは違う方向に動いていくこともあると思います。相手のお芝居やその場の空気によって、「こう来るんだ」と焦る瞬間もありますか?
よくありますし、とても焦ります。絶対に顔には出さないように必死です(笑)。でも、そういう時の頭の回転に助けられることも多いんです。追い詰められた状況だからこそ、普段だと出てこない考えや発想が出てくることがあって。焦るし大変ではありますが、それも現場の醍醐味というか、楽しさなのかなとも思います。もちろん、ちゃんと怒られることもありますし、準備は大事だなと痛感します。その場で臨機応変に対応できる柔軟さは、今一番身につけていきたい能力かもしれないです。
新人の頃、想定外のことが起きて止まってしまいそうになった経験はありましたか?
ありました。でも私は「待ってください」と止める方が怖かったんです。だから、「これは間です」という顔をして、あえてやっています、みたいに乗り切ることが多かった気がします(笑)。本当に分からない時は、先輩や監督に正直に聞いていました。ごまかせていたのかは分からないですし、バレていたような気もしますが……。
もともと、反骨心や納得できないことに対して「ちゃんと跳ね返したい」という気持ちは強いタイプでしたか?
強いタイプだと思います。年々薄くなってきているとは思いますが、昔は強く見せたかったのかもしれないですし、もともとの性格もあると思います。仕事を始める前の方が、もっと勝ち気だった気がしますね。世界が狭かったから、自分の知っている世界では自分が一番だと思い込んでいたところもあって。そこから多くの人と会って、そうじゃないことも分かりましたし、無知は怖いなと思うようにもなりました。今は、予定調和ではないことが起きた時、まずは一回やってみて、間違っていたら言ってもらうようにしています。自分で「これはこうで、ここまで」と決めすぎてしまうと、(自分の芝居を)見ている側もあまり楽しくないのかなと思っていて。期待通りのものが撮れた時もみなさん喜んでくださると思うのですが、予想外のものが出た時の方が楽しそうに感じることがあるんです。そんなところも私を求めてくださる理由のひとつなのかなと思うので、違ったら言ってもらえばいい、くらいに気負わない気持ちで、まずは自分なりにやってみるようにしています。
現場に入る前の準備はどのくらい固めていくタイプですか?
台本を読むと、どうしてもそのシーンを想像するじゃないですか。「相手はこういう感じで言うだろうな」というところまでは想像しないようにしていて、情景などから「こう動くのかな?」となんとなく思うことはあります。イメージはどうしても入ってきてしまうので、台本を読む段階ではふわっとという程度に留めておいて、現場に入って一度やってみる流れが近いと思います。
今年は映像作品など、いくつかの作品の準備が重なるタイミングでもありますよね。複数の作品を同時期に準備することは、南さんにとってはどうですか?
これまでは、作品を並行して進めることがあまりなかったので、そうなるたびにプレッシャーはあります。ただ、すごくいいプレッシャーですし、楽しみな気持ちの方が大きくて。お話をいただいた際、きちんと話し合った上で「やってみたい」と思ったものに参加しているので、クランクインが楽しみなものばかりです。中でも専門的な練習が必要な作品はやはり大変ですね。数ヶ月で身につけなければいけないことがあるので、作品の内容そのものよりも、そこにプレッシャーを感じるかもしれないです。
新しい技術や所作を身につけることは、役者という仕事の醍醐味でもありますよね。
そうだとは思うのですが、今はまだ難しさが勝っています(笑)。以前ピアノを練習していた時は、曲が少しずつ弾けるようになっていく過程が目に見えて分かったので楽しかったんです。今取り組んでいるものは、未知の要素が大きく正解が分からなくて……。ひとり家で練習をしていても何が正しいのか分からない。教えてくださる方によっても違うので、いろいろなものを見たり聞いたりすると、逆に混乱してしまうこともあって。今は、教えてくださる方を信じて少しずつ進めています。楽しいと思えるようにはなってきましたが、やっぱり緊張しますね。

そうした準備や忙しさの中で、体調管理も大切になってきますよね。
本当に大事だと思うようになりました。私はすぐに体調を崩してしまうタイプで、毎シーズン風邪を引いているくらいなんです。最近はビタミンのサプリや漢方を飲み、夏でも湯船に浸かり、運動もしています。すごく疲れていると睡眠を優先してしまいますが、栄養をちゃんと摂らないと回復できないので、食事面ももう少し気をつけたいなとはずっと思っています。忙しい時ほど二の次になりがちなので、そこはまだ課題ですね。忙しい時よりも、忙しい期間が終わって安心した時に風邪を引いてしまうんです。現場では気を張っているので、その疲れに気づけていないのだと思います。自分の身体のことも、もっと知っていかないといけないなと思います。
運動もしているのですか?
ピラティスとジムに行っています。ピラティスは週1くらいで、ジムは週3回くらい行けたらいいなと思っていて。3日間ともガッツリ運動するわけではなく、「有酸素だけしに行こうかな」という日もあります。ストレスなく続けられるようにしていますが、汗をかくのは気持ちいいですね。仲のいい友達と、同じ整体に通ったり、みんなで鍼に行ったり。「このサプリよかったよ」と共有することも多いですし、岩盤浴に行くことが遊びになっているようなところもあります。
体調面だけでなく、忙しい時期ほど、自分の内側のバランスを知ることも大事になってきそうです。南さんは以前、自分の中に頑固な部分もあるとおっしゃっていましたが、今はその部分をどう受け止めていますか?
今でもそういう面はあって、いい方向に作用してくれる時もあれば、変な完璧主義や頑固さとして出てしまうこともあります。「なんでこう考えてしまうんだろう」と感じることもありますね。良くも悪くも残っているなと思います。例えば、会話をしている中で「ん?」と思うことがあった時、「なんでそう言ったの?」と深掘りしてしまうことがあって。「あえてその言葉を選んで言ったのはなぜなんだろう」、「どういう意味で言ったのだろう?」と考えてしまうんです。相手からしたら「なんでそこなの?」と思うかもしれないですが、自分でも引っかかるポイントが分からない時があります。もちろん関係性にもよります。今日限りの方ならそのまま受け取って流すこともありますが、ある程度関係性があり、まだ諦めていない人には聞いてしまうかもしれないです。「私がそう思わせてしまう部分があったのかな」と考えることもありますし、どうしても止まらない時は、その場で言ってしまいますね。
ひとつひとつ納得したいという感覚に近いのでしょうか。
そう思う一方で、それは自分勝手じゃないかなとも思ってしまうんです。私が黙っていれば円滑に進んだかもしれないですし、あまり自分よがりになりすぎないように気をつけています。ポジティブに捉えると、それが原動力になることもあるので、なくなったら、芝居も良くならないような気がします。何も思わなくなってしまうのが一番怖い。イラっとしたくないから、そもそも何も感じないようにすることが一番怖いなと思います。
以前は「今日はこんなことをした」という出来事で日々を記憶していたけれど、最近は「こういう気持ちになった」、「こういうことを言われた」という感情で覚えるようになったとおっしゃっていました。時間の感じ方も変わりましたか?
変わりました。前までは出来事で保存していくタイプだったんです。でも最近は感じたことや考えたことを記憶していくように変わりました。これまでは1年が早く感じていたのですが、断片的に記憶が飛んでいたからなのかなと思います(笑)。最近はその時の感情を覚えるようになったからか、前より長く感じるようになりました。よく日記など記録しているかを聞かれますが、特にしていなくて。した方がいいのかもしれませんが、言葉にしたり文字にすると、「なんか違うな」と思ってしまうんです。自分の持っているボキャブラリーが少ないからか、ぴったりくる言葉がないし、1枚の紙にまとまるような日ではなかったと思ってしまう。だから今は、自分の記憶の中だけに留めています。
これからさらに忙しくなる中でも、フットワーク軽く何でもできる状態でいたいという気持ちは変わらないですか?
それは変わらないです。忙しくなるといろんなことが雑になってしまうので、自分が好きだったもの、欲しかったもの、見たかったもの、そういう人生のプラスになるものを削いでしまう気がするんです。だからこそ、その時の自分が好きだったものや気持ちは覚えておきたいなと思います。業務的な毎日が続く中でも、心が豊かになるものは大切に残しておきたいです。

忙しさの中で、今は少し後回しにしているものもありますか?
留学に行きたいとはずっと言っていたんです。それには時間が必要ですし、いろいろな準備も必要で。小さい頃から、ひとりで思うままに生きていけたらいいな、いろいろな街を訪れたいなとずっと思っていて。今は責任もありますし、考え方も変わってきました。失ったとは思っていないですし、この仕事のせいでなくなったとも思っていないですが、昔とは少し違う受け止め方をするようになりました。絵本みたいな生活がしたいと思っていた時期もありましたが、今は少し違うなと思って、心にしまってあります。
もし留学に行くとしたら、どこに行きたいですか?
街並みに憧れがあるので、ヨーロッパに行きたいです。でも留学して何をしたいかと言われたら、正直まだ分からなくて(笑)。憧れというか、人生でやりたいことのひとつという感覚で、知らないことを知りたいんです。ただの長期旅行にはしたくないので、現実的になった時にちゃんと考えようかなと思います。
先日20歳を迎え、お祝いの機会も多かったと思います。自分の中で意識の変化はありましたか?
まず、お酒を飲みすぎないようにしようと思いました(笑)。楽しいと飲みすぎたり、時間があっという間に過ぎてしまうので、気をつけたいです。あとは素直に、「シャキッとしよう!」と思いました。自分の周りにはこんなにたくさんの人がいてくれていると気付きましたし、お祝いしてもらえるってとてもありがたいことなのだなと思いました。自分ごとではないにも関わらず、幅広い年代の方にお祝いしていただき、みなさんが興味を持ってくれることが素直に嬉しかったですし、大切にされているんだなと思いました。ありきたりな言葉になってしまいますが、恩返しができるようになりたいです。美味しい食べ物やお酒もですが、言葉をたくさんもらったことがすごく嬉しかったです。この先も大切にしたい言葉たちを、たくさんもらった気がします。親友から手紙をもらったんです。何枚も綴られた手紙で、思い出話もいろいろ書いてあったのですが、あまり感動を誘う感じではなく、ずっと一定の温度で(笑)。友達同士だと「大好きだよ」なんてあまり言わないじゃないですか。照れくさいですし。でもその子が「私は一番の味方だし、一番分かっているつもり。何より私が一番あなたを信頼しています」と言ってくれて。そんなふうに言われたことがなかったので、すごく嬉しくて、心に残っています。
俳優 南 琴奈(KOTONA MINAMI)
Instagram:@kotona_minami
costume
・Beige
jacket ¥99,000 , skirt ¥52,800 , turtle neck ¥39,600 all by IRENISA、shirt ¥69,300 by YOKE、pierce ¥36,850 by OCUCCI
・Purple
shirt ¥35,200 , skirt ¥38,500 all by MURRAL、coat ¥97,900 by Juha
・Black
shirt ¥40,700 , skirt ¥49,500 all by MURRAL、shirt ¥42,900 by TICCA、pierce ¥24,200 by PLOW
staff
Photographer : YUYA SHIMAHARA
Hair & Makeup : NOZOMI KAWASHIMA
Stylist : AKANE KOIZUMI
Director : SATORU SUZUKI
Text : AYAKO UENO