山田杏奈「たくさんの人の想いが詰まった作品なので、現場の温度ごと届いたら嬉しいです」2026年秋号インタビュー
創刊準備号では表紙にご登場いただきましたが、本誌では初の表紙撮影でした。AKANE MAGAZINEは今、少しずつ認知されていく段階ですが、準備段階から携わってきた媒体の表紙を飾るお気持ちを聞かせてください。
AKANE MAGAZINEは、私にとって思い入れの強い媒体なんです。準備段階からご一緒して、今回表紙に呼んでいただけたことも嬉しくて。素敵な写真ばかりですし、いつも綺麗に写してくださるので、ファンの方はもちろん、周りのスタッフから「見たよ」という声がたくさん届きます。楽しみにしてくださる方が本当に多くて!それだけ多くの方に届くのは、被写体のみなさんに対する愛情が、誌面から伝わるからなんだろうなと思っています。撮影時はいつも温かく迎えてくださる場所だと感じますし、できあがったものを見ても、ひとつひとつのページにこだわりと愛情を感じる。人との繋がりを大事に作られているのだということが伝わってくる媒体ですよね。そんな雑誌の表紙を任せていただくとなると、「表紙だ!」と嬉しい気持ちでいっぱいになります。あとは、私以上にスタッフのみなさんの気合いを感じるので(笑)、今日の撮影ではさらに気持ちが引き締まりました。
少し照れくさい質問ですが、今「愛」という言葉はモノづくりにおいて大事なワードではないかと思っていて。この時代にどうコミュニケーションを取りながらモノを作っていくかというのは、雑誌も映像業界もきっと一緒だと思うんですよね。映像業界に長く携わっている山田さんは、最近のそうしたムードの変化を感じることはありますか?
今はネットで読めるものが増えたり、映画館ではなくサブスクで作品を観る人も多くなったりしていますよね。もちろん、どちらにも良さはあると思うのですが、映画館に足を運ぶことも含めて、好きだからこそ場所や文化を守っていきたいという空気が高まっているように感じます。年々作品の数も増えていますが、ひとつひとつを大事にこだわっていく姿勢を持っている人が業界を牽引している気がします。
山田さんのこだわりや曲げたくないものとは?
基本的に全部のことに自分の意思が反映されています(笑)。母には昔から「杏奈は何言っても自分がやりたいようにやるでしょう?」と言われていて(笑)。言われたことに納得したら意見が変わることもありますが、「言われたからこうする」という考え方はあまりない。頑固ですね(笑)。でも仕事はその限りではないかもしれないです。逆にこちら主導ではないなと思っているので、自分が真ん中だという気持ちではないというか……。例えば役のことでも、自分の思っていたものと方向性が違ったとしても、そこに近づけるのが役者だと思っているので、また違うと思います。プライベートだと、食べるものは自分で決めたい派。お仕事の時など、食べたいものを三食自由に選べない日が続いたりすると、すごくストレスに感じます。「美味しいんだけど、今この気分じゃない……!」と思ってしまって。柔軟に受け入れられないんだと思います。「本当はこれが食べたいのに」と思いながら食べています(笑)。
(笑)。“熱量のあるモノづくり”という意味では、現在放送中の『俺たちの箱根駅伝』も、まさに現場の熱を感じる作品だったのではないかと思います。池井戸 潤先生の小説を原作に作られた今作。山田さんが演じた戸山はどんな人物ですか?
私が演じたのは戸山知香という、大日テレビのアシスタントディレクターです。箱根駅伝の中継を担当する部署に配属され、最初はその魅力があまり分からず、モチベーションも上がらず。「私もう帰るんで」とか言っちゃうところから、大泉 洋さん演じるチーフプロデューサーの徳重、伊藤沙莉さん演じるセンターディレクターの宮本という、箱根駅伝に愛を持っている先輩や選手たちの本気に触れ、そこから一転して番組作りに向き合っていくキャラクターです。

普段は役者として入っている現場ですから、制作側を役として演じるというのはちぐはぐだったのではと想像しました。
現場にお手本となる方がたくさんいるのでとてもありがたかったです。カメラを持つシーンでは、カメラマンさんに「こういう時はどこを持っているものなんですか?」と教えてもらったり、「ハンディはこう(持つの)かな」と実際の様子を見たり。専門的な作法みたいなことは、現場の助監督の方がこっそり教えてくれたり、細かいところは「我々は重いドアを開ける時には、こうやって開けます」と実演してくれたりして。「いつもみなさんのお仕事を見ているから」と少しは分かった気になっていましたが、実際に動くとなるとまったく違うんだなと痛感しました。難しかったのは“キュー出し”(出演者にタイミングの合図を送ること)。「5秒前、4、3、2……」というのが全然できなくて。普通は手のひらを縦にして数を数えるじゃないですか。テレビマンは横にして数えるんです。やり慣れていないからか、指は「3」を出しながら「4」と言ってしまったりして。現場には完璧にできる方しかいないので、ご指導も厳しかったです(笑)。実際に駅伝番組を作っている方や、1号車(先頭を走るのテレビ中継車)のアナウンサーを長らく務められている蛯原(哲)さんもいらっしゃり、撮影を見ていただいていたので、細部までリアルが映っているのではないかと思います。
撮影は汐留や番町などの日本テレビスタジオを存分に使って行われたんですよね。
バラエティ番組でお邪魔するスタジオに、あんなに緊張しないでいられたのは初めてでした(笑)。番組に出演する時は、芸人さんがたくさんいらっしゃることもあって、いつもガチガチに固まっているので、あんなに悠々といられたのは不思議で。いつもとは違う感覚でした。
現場の裏側を知り、新たな発見はありましたか?
私は箱根駅伝がすごく好きで、毎年お正月に(放送を)観ているんです。タスキが受け渡される場面や順位が変わる瞬間は、必ず映されることは何となく知っていました。通常の番組だとCMを入れる位置はある程度決まっていると思いますが、箱根駅伝の場合は展開によって、「ここで順位が変わりそうだから、今CMに入ろう」、「入れるならこのタイミングしかない」という判断が、かなりフレキシブルに行われているんですよね。そういう裏側の動きは、この作品に携わったからこそ知ることができました。また、アナウンサーの方が選手それぞれの大学に取材に行くシーンもあるんです。朝の番組などでニュースを伝えてくださっているイメージが強いですが、取材者としての側面もお持ちだということを改めて実感しました。
来年から、駅伝の見方も変わりそうですよね。
すごく変わると思います。番組制作には“キューシート”という、想定される流れが書かれたものが用意されるのですが、さらに箱根駅伝には“放送手形”なるものがあるんです。マニュアルのようなものなのですが、そういう存在も知ると、すごく面白いと思います。制作サイドを知ったからこそ、来年の駅伝は「今ギリギリだったな」、「焦っただろうな」と中継の妙を臨場感たっぷりに観ちゃうと思いますし、逆に「ここを収めているのがすごいな」という見方もできるのが楽しみです。

作品全体の見どころは、どういうところですか?
戸山は大日テレビのスタッフなので、彼女の視点からだと、箱根駅伝を視聴者に届けるテレビマンとしての決意の描かれ方が見どころです。他にも、池井戸作品らしい、登場人物それぞれの策略や攻防が描かれるのもすごく魅力だと感じます。選手側の描写もそうで。選手のみなさんとは2日くらいしか撮影をご一緒していないので、私自身も放送を観るのが楽しみなのですが、本当に長い期間練習されていたようなんです。合宿まで行われていたらしく、実際の駅伝並みの熱量を持った映像になるんじゃないかと思っています。スタッフのみなさんの「いいものを作るぞ」、「すごいものを作ってやるぞ」という気合いの入ったプロジェクトだということを最初に聞いていたので、相当な覚悟を感じながら撮っていました。実際に番組を作っている人たちだからこそ撮れているものもあると思います。ドラマでありながら、どこまでリアルを描けるか。「ここはこういうイメージだけど、本当はこうだよね」などという話がいろんなところで交わされていたので、リアルなモノづくりの現場が映像からも観て取れると思います。
ドキュメンタリーではないけれど、限りなくそれに近い制作現場を役として経験されてみて、いかがでしたか?
今作は特に正解を知っている人が周りにたくさんいる中での撮影でしたので、芝居ではありながら、絶対的な真実に助けられる部分が本当に多かったです。撮影が終わりに近づいた頃、いつものようにADバッグを持っていると「本当にADかと思った」と言われることもあって(笑)。馴染んでいたのだなとすごく嬉しかったです。
前号のインタビューでは、過去作品のロケのお話になりましたが、今作では過酷なロケはなかったですか?(笑)。
1つありました(笑)。箱根・駒ヶ岳のカメラポイントを見に行く場面で、ロープウェイで行くはずが、止まっていてみんなで山道を歩くというシーンがあったんです。撮影時はロープウェイで登り「現場まで少し歩きます」と言われたので、すぐだろうと思っていたら、20分くらいのガッツリ登山で(笑)。大泉さんがいつものぼやき節で「ここを現場にしようって言ったやつは誰だ!」と言いながら(笑)、みんなでワイワイ歩いた思い出になりました。
(笑)大泉さんは同じ事務所の先輩ですね。
大先輩です!共演させていただくのは初めてでした。これまで視聴者の側で、『水曜どうでしょう』も観ていたからすごく緊張していたのですが、圧倒されるほどのエンターテイナーと言いますか……本当にすごい方でした。撮影中だけでなく、空いた時間にもその場にいるみんなが入ってこられるような話を振ってくださったり、ワッと盛り上げながらも話を合間時間内に収められたりするのが本当にすごいなと思って。
そうした先輩方やスタッフの熱量も含め、作品全体から大きなエネルギーを感じます。日本テレビを代表する作品の1つになるであろう今作に出演されて、改めていかがでしたか?
まずは池井戸先生にお会いできたのがすごく嬉しかったです!また、最近は撮影時でも緊張することが本当に少なくなってきたのですが、最初はかなり緊張していて。年も近い望月くんと「この現場、なんだか緊張するよね」と言い合うくらいで。温かい雰囲気ではありながら、いつも気が引き締まる現場からは学びもたくさんいただきました。撮影時から多くの人に届くドラマになることを予感していたし、箱根駅伝という、歴史と伝統のある日本の大イベントをテーマにした作品に出られたことを嬉しく思います。たくさんの人の想いが詰まった作品なので、現場の温度ごと届いたら嬉しいです。
俳優 山田杏奈(ANNA YAMADA)
Instagram:@anna_yamada_
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dress ¥64,900 by venit / Harumi Showroom、shirt ¥45,100 by KAYLE、ring stylist’s own
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tops ¥30,800 by TĔLOPLAN、skirt ¥42,900 by RUMCHE、bracelet ¥59,100 by Tom Wood / Tom Wood Store Aoyama
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Photographer : YUYA SHIMAHARA
Hair & Makeup : NOZOMI KAWASHIMA
Stylist : AYANO NAKAI
Director : SATORU SUZUKI
Text : AYAKO UENO