有村架純「仲間を思い、役者としての自分を全うする」創刊号特別インタビュー

INTERVIEW

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有村架純「仲間を思い、役者としての自分を全うする」創刊号特別インタビュー

AKANE MAGAZINEのコンセプトについて、有村さんはどう感じられましたか?

日本の文化や、国民性だったり。大切にしている信念みたいなものを継承していけるような媒体というのは、やっぱりすごく貴重だと思います。私たち俳優は、その作品を通して、メッセージとして伝えていく役目を担っている。多様性という言葉が浸透していく中で、様々な文化を取り入れて、受け入れて、共存していくということも、もちろん必要だとは思います。けれども、やっぱり私たちは、日本人である上で共存していくということを、忘れないように、大切にしていきながら生きていかなければいけないんじゃないか、私自身がより最近そう感じたりもしています。だからこういう雑誌があると、何か忘れかけていたものみたいなのを、取り戻せたらいいなって思いますね。

デビュー当時に遡り、今振り返ると『有村架純』とはどんな子だったと思いますか?

そうですね……。今でも自分に自信は持っているとは言えないのですが、今よりもさらに心配性、不安を持ちながら、生活してたかなと思いますね。

それは責任感の強さから来るもの?

いや、自分に甘い部分もたくさんありましたし、お仕事という捉え方が、その覚悟みたいなものが、少なかった部分があるかなと。本当の意味で、自分自身と向き合いきれていなかったのが、デビュー当時の私だったかなと思います。

現時点、2026年の『役者 有村架純』は、ご自身を俯瞰してみて、どんな役者でしょうか?

矛盾している人間だと思います。

具体的にどういう矛盾がありますか?

勇気もあるけど、その逆で臆病さもある。挑戦したい心もあるけれど、自信が持ちきれない。いつもそこの矛盾の中で生きていますね。

表裏というか、臆病だからこそ、勇気を出さなきゃいけない。自分に対して素直だからこその矛盾では?

そうかもしれないですね。なんだか大人になればなるほど、自分を生きれば生きるほど、よりその矛盾感を感じています。本当の自分は、いろんな人の視線がバッて向いたりすると、急に怖くなっちゃったりするタイプなんです。でも、お仕事として堂々としていなければならない場面もあったり。そこが、結構ちぐはぐだなって思ったりもして。ただ、お芝居に対しては、一貫した気持ちがある。そんな部分が、なんか矛盾しているなって。

真意、すごく伝わりました。ありがとうございます。キャリをここまで着実に重ねてきた上で、有村さんの中で大切にしたい部分や、譲れないポイントはありますか?

仲間を大事にしたいという気持ちは、ずっと持ち続けています。それは現場での仲間もそうだし、過去自分と仲良くなってくれた、一緒に戦ってきた仲間もそうだし。だから、自分が現場に立つ際は、スタッフさんもキャストのみんなも、どうやったら幸せに、風通しよく過ごせるかを大事に考えています。なんか綺麗ごとには聞こえてしまうかもしれませんが、仲間たちが傷ついていることがあまり好きではないので、そういった気持ちが、譲れないポイントなのではないでしょうか。

一生懸命やっている人たちがつくる現場は、キャリアは違えど、役者もスタッフも、一体感が生まれる。そういう経験も多かったのでしょうか?

そうですね。今ある環境を楽しむようにすることも大切だと思うのですが、果たしてそれだけでいいのか?と考えることもあって。自分たちでしょうがないと諦めてしまうというか、予算もないし、時間もない。仕方がないよねと、ずっとずっと根本を解決しないまま、問題に蓋をしたまま過ごしていったら、もう何も変わらない。それによって押し寄せてくる、ある種のシワ寄せみたいなものも、実際現場で感じることもありますし。いつも仲間と話すのは、その中でも自分たちがどれだけ飛び抜けた芝居だったり、表現をすることができるかが大事だよね、どんな環境であれ、結局諦めないっていうことが大切だよねと、鼓舞し合いながらよく話しをするんです。そういった前を向いた仲間たちと過ごす時間は、私にとってとても大切な経験だといえますね。

いつも戦っているんですね。ありがとうございます。この4月から放送されるTBS日曜劇場『GIFT』について。今回演じられるのは『霧山人香』さん。作品の概要と、霧山さんについて教えていただけますか。

『GIFT(ギフト)』は、車椅子ラグビーを中心に巻き起こっていく、人間たちの成長物語。私が演じる『霧山人香(きりやまひとか)』は、ライフスタイル誌を作っている雑誌の編集者で、編集長の指示で車椅子ラグビーについての連載を担当することになって。ただ、人香には、実はトラウマというか、ずっと引っかかりのある出来事があって。それがなかなか払拭できないまま、それでも前を向きながら生きていくんだと決めたけれど、そこのトラウマと向き合わなければいけないことに。その連載で取材する車椅子ラグビーのチームは、かつては強豪だったけれど、成績がどんどん落ちていって、今は弱小と呼ばれる『ブレイブブルズ』。堤真一さんが演じる天才宇宙物理学者の『伍鉄文人(ごてつみふと)』が、とあることからそのチームに入ることになり、私は連載の取材として伍鉄さんやチームと深く関わるようになります。最初はみんな気持ちがバラバラ。人香自身もなんとなく中途半端な気持ちで、取材を担当している。仕事だから関係を持ってはいるけれど、本当の意味で一つにはなりきれてない、そんな所から物語が始まって。その中で堤さん演じる伍鉄さんがあらゆる言葉だったり、考えだったり、いろんなものをくれてみんなも変化していく、私自身も変化していくという。与え合うストーリー、タイトルにもある『GIFT』という物語になっています。

なかなか触れることのない車椅子ラグビーの世界。実際に現場に入られるまでに、何か準備はされましたか?

まず、選手の皆さん参加されている練習現場を見に行かせていただきました。車椅子ラグビーに関係する資料も事前にいただけたので、照らし合わせながらルールだったり、どういう競技なのかっていうところから勉強させてもらって。練習だけでなく、実際の試合も見に行かせていただいたり、情報として頭に入れて、体験としてもしっかり記憶して。

試合などを実際に目の当たりにした時、どういう印象を受けましたか?ラグビーというだけでも身体のぶつかりあいというか、そこに車椅子同士の衝撃。

セリフにもあるのですが「殺人球技」って言われているくらい、本当にぶつかりあうんですね。車椅子ごと宙に浮くんですよ、ぶつかると、その反動で。それで横転してしまったり、怪我はもちろんつきもので……。ですが、選手の皆さんは、もうそういった恐れが一切ないといってもいいくらい、猪突猛進にぶつかり合って、トライを決めていく。その光景が本当に衝撃で……。当たり前ですが、ものすごい音もしますし。それと、選手の皆さんが、本当に個性豊かなんです。それぞれの性格によってプレーの仕方も変わってくる。ものすごい馬力のある選手もいれば、一歩引いて見守っている選手もいる。そういったことからも、一人一人の背景や、物語を考えるようになって、どんどん興味を持つようになりました。

『GIFT』は、一視聴者としては、どういう気持ち観たらいいのでしょうか。純粋に楽しんでいいのか、車椅子ラグビーについて事前に調べた方がいいとか。

これは私の感想ですが、今までのTBS日曜劇場とは少し空気が変わって、すごく爽やかな物語だなって。ざっくりとジャンル分けすると、スポーツヒューマンストーリー。なので、皆さん、とても見やすい作品だと思います。それぞれ個性豊かなキャラクターもいますし、ちょっとクスッと笑えるような部分もあったりもするので。TBS日曜劇場の重厚感というか、今回はそれがいい意味で違っていて、新しい風を吹かせられるんじゃないかな。新鮮な気持ちで楽しんでもらえるんじゃないかなって思います。

この作品を通じて、有村さんが伝えたいことは何ありますか?

なんとなく今って、オンライン上で色々できてしまったり、コミュニケーションを深く取らなくてもなんとなく生きてはいけるというか。体を使うというか、身体と心を存分に使う、労力をかけるというか、それでしか生まれないものもあるんじゃないかと私は思います。スポーツが人の心を動かすことができるのは、そういうことが背景にあるからだとも思いますし。チームで生活していると、よりそこってどんどん強化されていくじゃないですか。やっぱりみんなの熱量が一つになった時に、結果として出ていくとも思いますし。そこの絆の深さというか。アスリートではありませんが、役者として仲間を大事にしている自分からすると、やっぱそういった人と人の温かさに触れていくというのは、この先も決して無くしてはならないことだなと思います。例えばドラマを見てくれた人が、身近な人と、今までLINE上でやり取りして済ませていたことを対面で話したりだとか。ともにしたその時間で、お互いGIFTを送り合うみたいな。そういったことが伝えられたら、幸せに思います。

最後の質問。役者として、一人の人間として。この時代だからこそ芽生えたことでも、以前から考えていたことでも、有村架純さんとして夢や展望はありますか?

まずは自分自身のことを深く理解して、その上で自分を愛せるようになる。そこから周りの人間をいかに、健康で、クリーンな気持ちで過ごすことができる環境を作っていけるかどうか。使命じゃないですけど、そこは現場を作っていく一人の人間として、考え続けていかなきゃいけないなって思います。作品のためが皆のためになり、皆のためが作品のためになるじゃないですけど、そういう考えを持ち続けながら役者という仕事を全うしていくことで、自分自身もきっと豊かになっていける。この気持ちは、このまま大切にしていきたいですね。


俳優 有村 架純(KASUMI ARIMURA)
Instagram:kasumi_arimura.official


costume
・Red
coat¥126,500 , dress¥63,800 , choker¥40,700 all by FETICO
shoes¥44,000 by Sellenatela

・White
jacket¥115,500 , skirt¥96,800 , necklace¥63,800 all by HARUNOBUMURATA
shoes¥38,500 by Sellenatela

staff
Photographer : KYOSUKE AZUMA
Hair & Makeup : IZUMI OMAGARI
Stylist : AKANE KOIZUMI
Director : SATORU SUZUKI(AKANE MAGAZINE)

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