鳴海 唯「人と人とのつながりや接触はやっぱり大事なのだと、原点に戻って感じてもらえる」2026年秋号インタビュー

INTERVIEW

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鳴海 唯「人と人とのつながりや接触はやっぱり大事なのだと、原点に戻って感じてもらえる」2026年秋号インタビュー

長くお付き合いをさせていただいているスタッフのみなさんなので、ひとつのチームのような空気感がありました。ただ、AKANE MAGAZINEという新たな雑誌が始まるに向けての準備号ということで、撮影前に編集長から、雑誌のテーマを教えていただいていたんです。撮影自体はいつも通りのびのびと楽しくできたのですが、テーマとしてはこれまでと違うものがあって。そこがすごく面白かったです。雑誌も手に取りましたが、アニメーションと掛け合わせるなどのテーマ性があるところは、AKANE MAGAZINEの個性のひとつですよね。発信する方向も含め、今の時代に新しい雑誌が生まれている感じを受けました。

初めましての方がほとんどいないチームだったので、自分の中ではホームに近い感覚があって。すごくリラックスした状態で楽しめました。何度もご一緒していると、お互いに何を求めているかが分かってくる気がして、それがチームの良さなのかなと。今日は初めてご一緒した頃を思い出すような撮影でもあったんです。どんなことを考えながらカメラの前に立っていたかを思い返したりして。当時はとにかくカメラの前でいろいろな動きをしてみようという気持ちで臨んでいました。やってみると恥ずかしいような、少し変な動きでも、写真として見ると案外面白かったりするんですよね。緊張しながらも、積極的に自分から動いていたら、予想以上に面白いものができあがって。みなさんもワクワクしてくださっていたのが伝わっていましたし、そこが自分の表現の原点でもあるのかなと感じています。お芝居とはまた別ですが、雑誌の撮影も私にとっては表現のひとつ。自分の殻をカメラの前で破る瞬間を、みなさんに作っていただけた気がします。

ドラマ『シナントロープ』の時も青髪だったのですが、あれはウィッグだったんです。自然なウィッグだったので、染めているように見えていたと思うのですが、今回は本当に染めました。人生で初めて金髪にしたんです。いわゆる“ヤンキー染め”なので、根元までしっかりブリーチをしたわけではないですが、それでも髪はかなり傷みました(笑)。今はそこからさらに黒髪ショートに変わり、こんなに切るのは何年ぶりだろうと思うくらい短くさっぱりしました。

チーコの魅力は、白黒はっきりしている強い女性なのかと思いきや、間違いも失敗もしてしまう、どこか割り切れない部分もある人物だというところです。一筋縄ではいかない不器用さが、チーコというキャラクターの魅力なのかなと。怒りを放出することはおそらく得意で、自分のことよりも、身近な誰かが傷つけられた時の方が怒っているんです。そこに彼女の優しさを感じました。不器用な優しさではあるのですが、「ありがとう」や「ごめんね」はなかなか言えなかったり、本当に思っていることを言う時はすごく言葉に詰まったりする。ライオンのように怒るのに、ものすごくギャップがあります。全編を通して、いろいろな感情が分かりやすく表に出ているわけではないですが、だんだん緩やかに見えてくるんです。「今、彼女は何を考えているんだろう」と追いたくなるキャラクターでした。

そうなんです。笑う時は豪快に笑うし、怒る時はガツンと怒る。でも、何を考えているか分からない時もある。私自身、年齢を重ねるにつれて、人間って本当に多面的な生き物だなと感じるようになりました。あるシーンとあるシーンのチーコのテンションが全然違うと感じても、「いや、それが人間だよな」と。それは、原作(きらたかしによる同名漫画)を読んでいるときから感じていたことでした。繊細なシーンも多いですが、主人公のサトシ(黒崎煌代)が表情豊かで優しい人なので、その対比も面白いんです。コメディであり、ラブもあって人情もある。突然グッと考えさせられるシーンも出てくるなど、絶妙なバランスがこの作品の肝になっていて、気付いたら心を掴まれてしまう作品になっています。

感情の放出の仕方は、本当に似ても似つかないです。私はまず“キレる”ということがないので(笑)。でも、放出の仕方が違うだけで、怒りに至るまでの感情の回路みたいなものは、チーコと似ているところがあると感じました。そこが一見、似ても似つかないチーコをやってみたいと思った理由のひとつでもあります。自分のことよりも誰かのために怒ること、怒りの感情のプロセスは、私にも通じるところがあるんです。本当に言いたいことは言えなかったり、譲れないものがあったり。私は、自分の中に共通点がないとその人物を演じられないと思っているので、チーコにも自分との共通点を見つけていました。今まで演じてきた役を見て、「全然違うキャラクターをやっているね」と言っていただくこともありますが、私の中ではすべてのキャラクターに自分との共通点がちゃんとあるんですよね。だからか、そんなに幅広く演じている感覚はないんです。「自分の中にあるこの感情を肥大化させたら、このキャラクターができるな」という感覚が一番近くて。そこがないキャラクターは、その感情をもっと魅力的に持っている方が演じるべきだと思うので、自然とそういう役と出会えているのかもしれません。

そうですよね(笑)。私は兵庫出身なので関西に馴染みはありますが、舞台になっているのは大阪のかなりディープな下町で、自分が育った兵庫県とは全く別物でした。大阪のことを本当に何も知らなかったなと思いましたし、同時に大好きにもなりました。関西弁もまた少し違うので、関西人でもイントネーションを正されることが何度もあって。台本を見た時も「こんな関西弁あるの?」と、私でさえ思うところがあり、面白かったです。

撮影中は大阪に住んでいたのですが、早く終わったらチームのみんなと近くのご飯屋さんに行ったり、美味しいものを探してワイワイする日々で。それに救われもした2ヶ月間でした。大阪のご飯が美味しすぎて感動しましたし、より食に関心を持つようになりました。もともと必死になってご飯屋さんを探すタイプではなかったのですが、大阪の食を経験してから、「もう少し食にストイックになりたい!」というマインドになり(笑)。東京にも美味しいお店がたくさんあるはずなので、もっと探検してみたくなりました。

サトシが勤めている会社での出来事など、少しずつ現代にアップデートされている部分はありますが、どのシーンも原作へのリスペクトがベースにありました。面白いのは、20年前の空気を現代に持ってきた時に、大阪という街がすごくフィットすることなんです。いい意味で、変わらない場所があるんですよね。実際に街は変わっているのですが、変わらない空気感がある。チーコが働いているネジ工場も、今も運営されている場所をお借りして撮影しました。変わらないものがある大阪だからこそ撮れた画がたくさんあり、作品に活きているなと感じました。

何でしょうね……DNAなんでしょうか?(笑)。根付いているものが何かしらあるのかなと感じます。大阪には今でもご近所付き合いが盛んなエリアがありますし、ディープな下町には、変わりながらも変わらないものを大切にしようとしている場所がある。時代って回っていくじゃないですか。新しいものがどんどん出てきて、それらを享受しつつも、昔のものが逆に新しく感じられることもあって。、20年前の連載当時に原作を読んでいた方々はもちろん楽しめると思いますし、今の10代、20代の方が観ても絶対にワクワクするはずです。「知らないけど知っている」、というような感覚になってもらえるんじゃないでしょうか。デジタルツールを経由して恋愛もできてしまう時代だからこそ、殴り合うくらいぶつかって喧嘩する2人の関係が新鮮に映る。でもそれは、ただの喧嘩ではなくて、2人の関係を良くするための建設的な喧嘩なんです。チーコとサトシの不器用な恋愛模様を通して、人と人とのつながりや接触はやっぱり大事なんだなと、原点に戻って感じてもらえる作品になっている気がします。だからこそ、今届けるべき作品なんじゃないかという想いは、作っているチームみんなが持っていたと思います。

あまりにひどい人に対しては、フェードアウトしてしまうタイプです(笑)。でも、フェードアウトしてしまいがちな中で、「この人との関係は切りたくないから、面と向かってちゃんと話したい」と思える友達がいたり、逆に相手が言ってくれたことで気付けたり。そういう縁ってずっと続くんですよね。そんな人に出会えたら財産です。仕事仲間でも家族でも友達でも、なかなか出会えないと思います。『赤灯えれじい』には、正直にバンバン物を言う人たちがたくさん出てくるので、観ていてスカッとしますし、それが関西イズム、大阪イズムの良さでもあるんです。嘘がない人たちがいっぱい出てくるので、こういう仲間に出会えたら最高なんだろうなって。普段の私は全く言えないので、言ってくれる人に出会えると、人としてグッと好きになりますね。


俳優 鳴海 唯(YUI NARUMI)
Instagram:@narumi_05


costume
・Blue
coat ¥242,000 , tops ¥42,900 by all beautiful people、shoes ¥62,700 by BEAUTIFUL SHOES / AUTHENTIC SHOE&Co.、skirt & socks by stylist’s own
・Green
coat ¥107,800 , shirt ¥74,800 , dress ¥53,900 , shoes ¥59,400 all by AKIRANAKA、ring ¥17,050 by Soierie、ear cuff by stylist’s own

staff
Photographer : KYOSUKE AZUMA
Hair & Makeup : NOZOMI KAWASHIMA
Stylist : KAZUHIDE UMEDA
Director : SATORU SUZUKI
Text : AYAKO UENO

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