畑 芽育「自分でも知らない自分でお芝居する、みたいなことが繰り返されていて新鮮です」WEBインタビュー
8月7日より公開の映画『ブルーロック』で畑さんが演じられた、日本フットボール連合新入職員の帝襟アンリは、登場シーンがかっこよく鮮烈でした。日本をサッカーワールドカップ優勝に導くためには、革命的なストライカーが必要だという使命感から、“青い監獄(ブルーロック)”プロジェクトを立ち上げて。サッカー業界ごと変えていきたいというパワフルさの滲むキャラクターでしたが、畑さんはそんな彼女をどんな女性だと感じましたか?
私も理想とする女性像であり、このような女性がいたらかっこいいだろうなと思っていました。“青い監獄(ブルーロック)”プロジェクト唯一の女性キャストだということもあって、柔らかさは残すよう意識しつつ、日本フットボール連合の会長にもはっきり切り込んでいく強さやたくましさ、したたかさみたいなものをうまく表現できるように、原作からヒントを得ながら、どのように演じるか考えました。
漫画『ブルーロック』を読んだ時、どこにまず惹かれましたか?
絵の力です。絵がすごく綺麗ですし、初めてスポーツ漫画というものを読んだのですが、「こんなに躍動感のあるものをこう描くんだ!」という驚きが大きかったです。アニメでは効果音がついたり声優さんの声が入っていたり、色々な要素も加わっていて、潔(高橋文哉演じる主人公・潔 世一)の目の色が変わる瞬間やボールの動きなど、二次元なのに勢いが伝わってくる感じに圧倒されましたし、実写映画として形にするのはとてつもなく大変なのではないかと思ったのを覚えています。

作品資料に書いてあったのですが、プレイシーンの検証には、映画『THE FIRST SLAM DUNK』の描かれ方からインスピレーションを受け、編集の瀧田隆一さんにも協力をお願いされたそうです。
そうなんですか!?『SLAM DUNK』、大好きで映画も観ましたが映画『ブルーロック』とも繋がりがあったなんて驚きです。TVアニメ『ブルーロック』を観ていて、潔は心の声や走りながら喋っているところも多いので、実写でどのように起こしていくのか想像がつきませんでしたが、リアリティをきちんと三次元に落とし込み、無理なく表現されていることに驚きました。アンリは“青い監獄(ブルーロック)”プロジェクトの最高責任者の絵心(えご / 窪田正孝)さんとモニタールームにいて、そこからメンバーを見ていることがほとんどなので、完成した作品を観て、みなさんのプレーひとつひとつに感動しましたし、原作のファンの方も喜んでくれたらいいなと純粋に思いました。
畑さんは安定したお芝居から、原作のある作品も数多くお声が掛かっている印象です。その際、共通して考えられていることはありますか?
いつでも原作に対するリスペクトを持つというのはもちろんですが、その役を私に任せてもらった理由や意味を考え、私にしか出せない色をなるべく表現できるように意識しています。完全にオリジナルの脚本であれば、演出や監督、プロデューサーのみなさんと話し合う上で、まだ自分の色を足しやすいのですが、すでにキャラクター像のある人物に自分が演じる意味を加えていくのは本当に難しいです。
とはいえ、モニターの中という限られたスペースにも関わらず伝わってくる細かい動作……特に絵心が散らかしたものを片付けているところや絵心に対するリアクション、表情の作り方など、豊かな幅のある人物に見えていました。それは畑さんのお芝居ならではというか。細部まで印象に残っています。
うれしいです。役割を考えながら演じていて自然とそうなっていましたが、アンリの場合は変に目立ちすぎてもダメだなとは思っていました。『ブルーロック』は映画館で観てほしい作品だということを考えると、スクリーンに映される自分のちょっとした動き、極端に言うと目線動きひとつにも意味を持ちます。近年サブスクリプションの普及で、タブレットやスマートフォンなど、小さい画面で作品を観る方も多くなっていますが、映画館の大きいスクリーンだと誤魔化しが効きません。特に今作のように、シリアスで熱い……相反する言葉だと思いますが、あえて言います(笑)、そんな物語だと、お芝居もそうですし、ひとりひとりの心の中にある熱いものがありありと映し出されてしまう。そういう場合、アンリのポジションは動きすぎたりやりすぎてしまうと、くどくなるだろうなと思っていました。ただ、考えるあまり怯んで段取りの時に動けなくなってしまい……。そんな時に助けてくれたのが窪田さんでした。ものすごく自由に、軽やかに動かれていて、椅子にも飛び乗るし、トコトコ自由に歩いていってしまうし(笑)。その姿を見ていると、固まっていた身体も解れました。あとは、監督や撮影部、技術部のみなさんと話しながら進められたのも心強かったです。アンリがどの角度でどういう風に映ったらどう作用するかを、たくさん考えてくださっていることが伝わりましたし、アンリの良さを引き出してくれて感謝でいっぱいです。モニタールームという狭い空間の中で、絵心さんとアンリの関係を分かりやすく、ユーモラスに描いてくださっていると、完成作を観て感じました。

錚々たる同世代の役者の方々が集結し、主題歌もAdoさんが担当となると、この夏盛り上がること間違いなしの作品で、日本映画の凄みを感じました。長くこの業界に身を置いている畑さんにとって、今なおお芝居を続けていることについて、どのような意味を感じていますか?
正直今も夢みたいな気分ですし、小さい頃は夢にも思わなかったです。先ほど映画『ブルーロック』のイベント(ワールドプレミア)があり、綺麗なドレスを着て“ブルーカーペット”を歩き、ファンの方の前で挨拶をさせていただきました。そんな人になれるとは自分でも思っていなかったけれど、どこかそうなりたかったし、憧れていました。今、華やかな世界で自分の好きなお芝居ができて、素敵なキャストの方々と一緒に作品を作っている、この上ない幸せだと思います。映画は、いつも公開されるまで出演した実感がないので、公開が近づくとやってくるソワソワ感は、出演する度にあります。早くエゴサ・パブサしたい……私は結構見ちゃう派です(笑)。
(笑)。映画『ブルーロック』の撮影が終わってからも、いろんな作品を重ねられての今日だと思います。最近変わったなと感じることはありますか?
ここ最近は演じる役柄が作品ごとに全然違うなと感じます。作品のテイストやキャラクター像が似たものが続く瞬間はあって当然だと思いますが、今はそうではなくて。自分でも知らない自分でお芝居する、みたいなことが繰り返されていて新鮮です。高校生くらいまでは、どうしたら“子役”という枠組みから抜け出せるだろう、 “誰かの娘役”から外れるには?と考えることもありました。役の話ですが、10代の頃はやたらと病院にいたり、誘拐・監禁されていることが多かったです。心に闇を抱えているような役が続く中、そこから変わるには、今の自分のお芝居からどこを変えて個性を出せばいいのだろう?とばかり思っていました。もちろん、その経験によって培われたものもありますが、当時は自分のお芝居に新鮮味を感じなくて「もっとこういうのやりたいな」、「ああいうのやりたいな」と欲が止まらなかった時期でもありましたね。画面に映る最近の自分は、見たことのないお芝居をしているし「なんかいい顔しているな」と思う瞬間が多いです。今作も完成を観てそう思えましたし、作品の中で大事な役割を担う彼女をきちんと演じられたかなと、自分を認めてあげたいと思います。この先近しい役柄があったとしても、観たことのないお芝居を繰り出せるように、毎回自己ベストを叩き出せるようになりたいです。

役者の場合、熱烈なオファーを受けてから始まることが多いと思うので、お答えいただくのが難しいかもしれないですが、変わるきっかけのようなものがどこかにあったんでしょうか。
お芝居のレッスンを受けていた時に「楽しかったー!」と強く記憶に残ったものがありました。もともと、エチュードが好きで、中でも「面白い」で終わるエチュードが大好きでした。何度も経験して瞬発力が鍛えられたのか、撮影現場でも、ある時求められたアドリブに上手く応えられた感触がありました。すごく快感で「今の自分は、生き生きしたお芝居ができていたかも!」と感じました。その辺りから、ラブコメ作品のお話をいただくようになったりして、お芝居の幅がぐんと伸びた気がします。少女漫画って一括りにされがちですが、それぞれ全く違う個性があるので、演じさせていただく度にどう面白く可愛らしく、観てくださるみなさんに愛してもらえるキャラクターにしようかと考えるのが楽しいです。そうするとまた、「もっとできるかも」、「もっとこうしたい」と欲が湧いてきます。自分の伸びしろを感じてうれしいです。伸びしろというと、今日のイベントでピンヒールを久しぶりに履いたものの、あまりに慣れていなくて(笑)。最近パーソナルトレーニングにハマっているのですが、もっと早く始めていれば体幹も鍛えられて、かっこよく歩けたのにと悔しかったです。来年は25歳になりますし、バリキャリのかっこいい女性を演じることがあるかもしれないので、今から備えておこうと思った1日でした。

俳優 畑 芽育(MEI HATA)
Instagram:@mei_hata_official

『ブルーロック』
監督/瀧 悠輔
原作/金城宗幸・ノ村優介『ブルーロック』(講談社「週刊少年マガジン」連載)
出演/高橋文哉、櫻井海音、高橋恭平、K(&TEAM)、綱 啓永、野村康太、畑 芽育、窪田正孝、他
8月7日より全国公開
©金城宗幸・ノ村優介/講談社 ©CK WORKS
costume
dress by STELLA McCARTNEY
staff
Photographer : YURI INOUE
Hair & Makeup : ERIKO YAMAGUCHI
Stylist : MASAKO HIRATA
Edit & Text : AYAKO UENO(AKANE MAGAZINE)