現代美術家・束芋による個展「束芋画 国宝」がポーラ ミュージアム アネックスで開催

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現代美術家・束芋による個展「束芋画 国宝」がポーラ ミュージアム アネックスで開催

現代美術家・束芋による展覧会「束芋画 国宝」が、ポーラ ミュージアム アネックスにて開催。会期:2026年7月17日(金)から8月30日(日)まで。

束芋 「国宝 #499~500」 和紙に墨と顔彩 2016-2026 Photo by Keizo Kioku

本展では、2017年から2018年に朝日新聞で連載された吉田修一の小説『国宝』のために制作された挿絵全500点を、前期・後期に分けて公開。

束芋 「国宝 #166~169」 和紙に墨と顔彩 2016-2026 Photo by Keizo Kioku


連載当時、束芋はまず墨による線画を描き、その後、小説のストーリーを読み込みながら、場面ごとの感情や空気感を色彩として重ねていきました。線の上に色を置いていく過程には、物語世界だけでなく、その時々の自身の感覚や身体性も自然と反映されていたといいます。今回の展示に際し束芋は、新聞の入稿時にはデータ上で合成していた色彩部分を、和紙に描き留めた線画の上に改めて着彩を施し完成させました。約10年前に描かれた線やイメージを手がかりに、当時の感覚を現在の身体で呼び起こしながら色を重ねていく行為には、時間を超えて作品と再び向き合う感覚と、新たな発見や面白さがあったと語っています。
新聞という日々更新される時間性を伴うメディアの中で生み出された作品を通して、過去と現在、文学と美術、個人の記憶と身体感覚が重なり合う貴重な機会としていただければ幸いです。物語とイメージが交差しながら立ち上がる束芋独自の世界観をぜひご体感ください。

束芋 「国宝 #002」 和紙に墨と顔彩 2016-2026 Photo by Keizo Kioku

展覧会名:束芋画 国宝
会期:前期 2026年7月17日(金)〜 8月9日(日)/ 後期 2026年8月11日(火・祝)〜 8月30日(日)
※8月10日(月)は休館
時間:11:00〜19:00(最終入場18:30)
会場:ポーラ ミュージアム アネックス
〒104-0061 東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
入場料:無料
公式サイト:http://www.po-holdings.co.jp/m-annex/
主催:株式会社ポーラ・オルビスホールディングス
協力:ギャラリー小柳、家具屋利右衛門
※展示内容は変更となる場合があります。来場前に最新情報をご確認ください。

ポーラ ミュージアム アネックス 「束芋画 国宝」 フライヤー


■プロフィール
束芋(たばいも)
現代美術作家。浮世絵を思わせる色使いで独特のリズムを持つ手描きアニメーションを、空間に構成するインスタレーションで知られる。何気ない日常風景の中に、現代社会の歪みや人間の心理をシュールに描き出す作風で、1999年のデビュー以降、国際展にも多数出展し、2011年の第54回ヴェネツィア・ビエンナーレでは日本館代表作家に選出された。
表現の領域は広く、舞台作品のクリエーションや、海外のアニメーション作家らと大型インスタレーションを共作するなど、異なるジャンルの表現者との協働も精力的に重ね、空間と身体の新たな関係性を模索し続けてきた。
近年は、自身の内側にある記憶や、身近な物質がまとう時間などをテーマに制作を続けている。

■アーティストステートメント
私は「絵を描く」ということが苦手だ。特に、自分の中にあるものを外に出す行為として「絵を描く」ということは、苦手というより不可能に近いかもしれない。なので、私が絵を描く時は、自分の手を動かすためのシステムを構築することが必要となる。そしてそれ以前に自分が絵を描く理由さえも必要となる。と言うと、もはや自分が美術家であるかどうかも疑わしく感じてくる。
「国宝」の新聞連載の挿絵の依頼をいただいたことで、私は自分が”絵を描く理由”を与えられた。次は”システムの構築”である。自分の身体と描くための何らかのツールを使って、どうやってイメージを一枚の絵にしていくか。
「国宝」の新聞連載のさらに10年ほど前に、同じく吉田修一氏著「惡人」の連載の挿絵も担当させていただいており、当時のシステムの一部を踏襲することでこの稀な縁の繋がりを描き留めたかった。横長の和紙の右から左に時間軸を設定し、いくつかのイメージでは日を跨いで繋がっていくように描いていく。前日のストーリーが次の日のストーリーに影響を与えていくことを直接的な繋がりで見せるこの手法を、「惡人」に続き「国宝」でも採用した。
一方、絵にイメージを定着させるためのシステム(実際の描画方法)を変えることで、「惡人」の時とは全く違った印象を与えるものにしたいと考えた。「惡人」で強い印象を与えた抑揚のある線ではなく、「国宝」では一定の細さを保った線を採用。
そして、小説に漂う空気や登場人物の感情のような、目に見えないものを色に置き換えた。線と色、それぞれ役割を分けることで、紙面の挿絵の小さな欄でも繊細さと大胆さが共存する画面作りを目指した。
当時は新聞という制約の中でデータとして消えてしまった色彩を、10年後の今、手元に残された膨大な線画の上に、今度は物質的な絵具を使って定着させた。
このように、必要性を感じられるルールやシステムを構築することで私はやっと「絵を描く」ことができる。
時を経て和紙の上で定着されたイメージは、頭で想像していたよりも遥かに力強く、今再び私を物語の奥深くまで引きずり込む。
束芋


Text:MEGUMI ICHIHARA Edit: SATORU SUZUKI(AKANE MAGAZINE)

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